こんにちは! 院長の佐藤です。
本日は新しい看板が届きました! 医院リニューアルに伴い、看板も新しくしたのです。当院はビルの3階にあり、ちょっと入口がわかりにくくなっております。看板も置くスペースがあまりなく・・・・・・。いろいろ工夫して皆様にわかりやすく設置しておりますが、今回さらに見つけやすくなるように、動画も公開できる看板にいたしました。前の通りをお通りの際は、ぜひ注目してみてください!
さて、今回は顎関節症についてお話したいと思います。みなさま、顎関節症という病気をご存知ですか? あまり馴染みがないかもしれません。しかし実は、二人に一人は経験すると言われているほど多くの方がかかっている病気なのです。
- 食事、会話の時に顎が疲れる。
- ひとさし指から薬指まで3本が入るところまで口が開けられない。
- 口を開け閉めするときに痛み、または音がする。違和感がある。
上記のような症状がある場合、もしかしたら顎関節症かもしれません。痛みが1週間以上続く場合は、歯科医院へ行かれることをお勧めします。一時的な症状であれば、特に気にしなくても大丈夫だと思います。音だけの場合も、治療は必要ないかもしれません。
顎関節症は、どういう状態になるのでしょうか。以下の4つに分類されています。
1. 関節円板(クッション)のずれ
顎関節を横から見たイラストです。関節内に関節円板というクッションがありますが、これが前方にずれ、カクンカクン、ポキポキ、などの音が出る状態です。ずれがもっと大きくなると口が大きく開けられなくなります。口が大きく開かなくなると、食事や会話の時に痛みが出ます。顎関節症で一番多い状態です。
2. 捻挫に似た症状
関節円板のずれはないのですが、口を開けようとすると顎関節付近の組織に無理な力がかかって痛む、捻挫に似た症状です。我慢すれば口は開けられるが、口を開けると痛くなります。
3. 筋肉の痛み
顎関節自体には痛みがなく、下顎を周辺の側頭筋などに炎症を起こし、口を開けようとすると頬やこめかみの筋肉が痛むという状態です。筋肉痛(筋肉の緊張)による痛みが原因で、顎関節そのものには問題がありません。症状を改善させるために、筋肉をほぐすことが大切になります。
4. 骨の変型
上記3つほど多くはありませんが、関節を作っている骨が変形してします状態です。関節円板が前にずれ、口を開ける時に引っ掛かりや痛みがあります。長期間、顎関節症が続いていたり、高齢の方に多くみられます。
このような症状が出たとき、どうしたらいいのでしょうか?
医療機関の治療方法は飲み薬、注射治療や、マウスピースの装着、内視鏡手術などさまざまあります。
しかし、根本的な原因を改善しなければ、症状が緩和されないこともあります。原因は構造上の問題、生活上の要因などたくさん考えられますが、積極的な治療をする前に、まず顎関節のセルフケアを行ってみると良いと思います。
・開口ストレッチ(4つすべてのタイプに共通)
①手をこめかみに当て、あごを左右に動かします。強く動かし過ぎず、ゆっくりと軽く行ってください。
②下あごを前に出します。
③口を大きく開けます。大きすぎても良くありません。軽い程度で行ってください。
これらを1日5セット(1セット10回)行います。全身のストレッチと同様で、継続することで効果が期待できます。ただし、一度行ってみて痛みがひどい場合は、顎関節に炎症が起きている可能性があるため、中止してください。炎症が落ち着くまで関節を休ませましょう。
・筋肉マッサージ(筋肉の痛み向け)
①ひと差し指と中指を痛い箇所に当てます。側頭筋ならこめかみの周辺、咬筋であれば頬と耳の間です。
②500円玉大の円をえがくように指を動かし、筋肉をほぐします。痛気持ち良いと感じるくらいが、丁度よい押し具合です。
顎関節の原因
顎関節症の原因は、色々と考えられます。かみ合わせの悪さ、などもありますが、これだけで症状を起こすケースはまれだと考えられています。もともと顎関節の構造が弱い場合もあります。
症状が起きるきっかけとして、転んで下あごをぶつけて顎関節を損傷、ということもあります。
ストレスよる筋肉の緊張が続いたために痛みが生じたり、顎関節を傷つける場合もあります。さらに、日常生活の行動様式、仕事、趣味、など様々な場面で原因が考えられます。
顎関節の構造が弱いなど、改善が難しい要因もありますが、患者さん自ら行動習慣を見直しを行うことで改善できる場合も多くあります。
顎関節症の原因になる5つの行動習慣
▪歯ぎしり・食いしばり
▪ストレス
▪TCH(歯列接触癖)
▪楽器演奏
▪猫背等の前傾姿勢
こうした習慣は無意識のうちに行っていることもあります。今は顎関節症ではなくても、1つでも当てはまれば、将来、顎関節症を引き起こしてしまうかもしれません。まず自分の行動を振り返り、無意識のうちにやってしまっていないか意識するところから始めてみましょう。
▪歯ぎしり・食いしばり
自分では意識していなくても、眠っている時に歯ぎしり・食いしばりをしている方が多く見られます。歯だけではなく、あごの筋肉と関節にも大きな負担をかけてしまいます。人のあごの力は思っている以上に強く、口周辺の筋肉や組織、もちろん歯にも強い負荷をかけ続けます。
▪ストレス
ストレスは筋肉の過度な緊張の原因となり、TCHや歯ぎしり・食いしばりにつながります。意識していなくても、いつの間にかストレスを感じている場合も多くあります。なるべく運動や趣味などでストレスを発散をし、上手くコントロールする習慣を身につけましょう。
▪TCH(歯列接触癖)
人間はものを噛むとき以外は、上と下の歯のあいだをひらきます。小さなすきまがあるのが通常です。しかし、無意識のうちに上下の歯をかみ合わせており、癖となっている場合があります。この現象はTCH(tooth contacting habit:歯列接触癖)と呼ばれています。あごの筋肉の疲れや、関節の負担の原因となり、顎関節症の8割の患者さんにTCHがあるといわれ、この癖を治すと、大部分の患者さんの症状が改善することも明らかになっています。
TCHは無意識の習慣ですので、直すことは容易ではありません。まずはご自分でTCHがあるか意識し、上下の歯が当たっていれば、出来るだけ離すようにしましょう。離す習慣ができるまでは、「歯のくっつきに気を付けて!」と書いたメモを家の壁や目立つところ、気が付きやすい場所に貼っておくと良いかもしれません。
▪楽器演奏、または激しい運動
楽器演奏が顎関節に負担をかけることがあります。例を挙げるとバイオリンや、吹奏楽器です。バイオリンは演奏の時、あごで楽器をはさむので、下あごに負担がかかります。吹奏楽器も下あごの後方に力をかけるため、負荷となります。
また、激しい運動等では、多くの場合で歯を食いしばってしまいます。技術向上のため、長時間練習しなければならない場合もあるかと思います。その場合はマウスピースを利用するなど、予防することも必要となります。
▪猫背等の前傾姿勢
姿勢が悪いと、下あごは本来のバランスの良い場所とは違うところにぶら下がってしまい、顎関節へ負担をかけることになります。ゲームやスマートフォンなどを使用するとき、仕事でパソコン作業が多い方など、多くの方が注意が必要です。
上記、さまざまな要因について述べてきましたが、いかがだったでしょうか。もしかすると、思い当たる点もあったかもしれません。
顎関節症は急に進行するものではなく、上記のような日常習慣の積み重ねによって、いつの間にか少しずつ悪化していきます。顎関節が傷ついてしまうと、完全に元の状態に戻すことはできません。
顎関節症の症状の改善には、虫歯と同じように、患者さんご自身による普段からの予防、セルフケアがとても大切です。無意識のうちの行動を、振り返ってみると色んな発見があるかもしれません。
自分を振り返ることは難しいことですが、ぜひ一度、意識して実践してみてください!
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